海の京都・宮津燈籠流し花火大会を題材に、空と海が一つの夜をつくり、 空の星と海の燈籠が彼岸と此岸をつなぐ揺らめく旅路を描く作品。 故人を偲び、暗がりにともしびを昏々と浮かべていく情景を起点に、 儀式の神秘と、そこから前を向いて進んでいく祝福の力をひとつの舞台に重ねていく。
文化の中枢たる古都京都だけでなく、日本で最も海に近い暮らしを持つ「もう一つの京都」。その海の京都に息づく盆送りの儀式を、現代の演舞として再構成する。
燈籠は泡沫の象徴として揺らぎ、残された者の想いと、故人を偲ぶ静かな時間を映し出す。女子の袖替えや歌声が、この繊細な気配を受け持つ。
花火は克服と祝福の象徴として立ち上がり、儀式を経て前へ進む力へと転じていく。和楽器、オーケストラ、コーラスが重なり、フィナーレへ向けて壮大さを増していく。
女声は残された人として儀式に臨み、男声は盆送りされる側の気配として重なる。二つの視点が交差することで、彼岸と此岸をつなぐ作品構造をつくる。
燈籠流しの場面とフィナーレが最大の見せ場。灯と幕、旗、バチ隊、そしてスターマインのような道具演出が重なり、儀式の終宴を祝祭へと押し上げる。
悲しみを抱えたまま終わるのではなく、灯を胸に前へ進むための儀式として描く。
空の星と海の燈籠が重なり合い、彼岸と此岸を結ぶ美しい道標として立ち上がる。